中医学の診断と治療は、まず舌をみることから始まります。

舌は、体質、食習慣、内臓の不調、病気の兆候や症状などのからだのさまざまな情報を映し出す「鏡」です。舌の苔は白く、薄く均等に舌の表面に付いています。こすっても簡単にはがれることはありません。適度な湿り気があるのが正常で、カラカラに乾燥しすぎた状態や、べっとりと湿り気があるのは、からだに不調があるサインとなります。

大人の場合、たとえ健康な人であっても、これほど理想的な舌をみることはあまりありません。とくに病気がなくても年齢などの影響で、色がもっと赤かったり白かったり、舌苔が厚かったりする場合がほとんどです。その日の体調や食事によっても変化しますので、あきらかな異常がないようでしたら、今の舌の状態を指標とし、こだわりすぎなくてもいいでしょう。

舌を診るときにチェックするポイント

① 舌の色

理想的な正常な舌は、淡紅色から薄いピンク色です。体調がよくないと、赤くなったり、白くなったり、あるいは深紅色や※色、さらに青色になることもあります。

舌の形、厚みなど適度な大きさと厚みで、生き生きとしているのが理想です。病気になると、大きすぎる、舌のふちに歯のあとがつく、斑点がある、割れているなどの症状が出ることもあります。

② 舌苔の色

正常な舌苔は白色です。体調が悪化すると、黄色くなったり、褐色になったり、灰色になったり、黒くなったりします。そのほかの状態と合わせて病気の原因を判断していきます。

③ 舌の裏側にある静脈

舌の裏側には二本の静脈が流れています。健康な場合は、それがぼんやりとみえるか、全然みえません。病気になると、大きく、はれて目立ってくることがあります。

④ 舌苔の状態

薄い舌苔に適度な湿り気があれば問題ありません。体調がくずれると、厚くなったり、湿っぽくなったり、乾燥したり、はがれたり、苔がなくなったりします。

舌の動きなど

⑤ 舌の動きかた

健康であれば、なめらかな動きをしています。病気になると、動きが悪くなり、ふるえたり、ろれつが回らなくなったり、舌を出すと曲がったりします。

上記チェックポイントを毎日観察していると、舌の変化に気づくはずです。
舌の状態を観察することで健康のバロメーターにしてくださいね。